相続放棄について
「相続を放棄する」と聞いて、どういったことをイメージしますか?
「亡くなった方(被相続人)の遺産をもらわないこと」を「放棄する」と表現されることがあります。
プラスの財産(預貯金・有価証券・土地・建物・マンション・株式など)を、自分は貰わなくてよいから、他の人に受け取ってもらって構わない、という考えです。
しかし、法律的な意味での「相続放棄」とは、初めから相続人にならなかった」状態にすることです。
主な目的は、被相続人の抱えていた負債を背負わなくて済むようにすることです。
「自分は、何も貰わなくてよいから」という意味合いで、他の相続人がすべて相続する内容の「遺産分割協議書」に署名捺印しても、
それだけでは、借金から逃れることはできません。
例えその遺産分割協議書に、「被相続人に関する負債は、すべて 誰それが負担する。」と書かれていたとしても、
それは、相続人間の合意に過ぎず、債権者には対抗できないのが原則です。
Q 相続放棄をした方が良いかどうか?
_A 負債の金額、プラスの資産があるかどうか、その他の事情により個別の判断が必要です。
3か月の熟慮機関内に判断しなけばならないため、早めにご相談ください。
Q 相続放棄をしたら、遺産や負債は誰が相続するの?
_A 同じ順位の相続人がいれば、その相続人が、同じ順位がすべていなくなれば、次順位の法定相続人が相続します。
配偶者は常に相続人になります。
例えば、父が借金6000万円を遺して亡くなり、存命の母と子供(長男・二男・三男)が法定相続人であった場合、
法定相続分に従い、母が2分の1(3000万円),長男・二男・三男がそれぞれ6分の1(1000万円)ずつ借金を背負います。
ここで、長男のみ相続放棄すると、長男は最初から相続人ではなかったことになるので、
母が2分の1(3000万円),二男・三男がそれぞれ4分の1(1500万円)ずつとなり、次男三男の背負う借金が増えてしまいます。
このような結果になることから、親族間で話し合いをして、手続きを進めることが一般的です。
めぼしいプラスの財産がない場合であれば、母も含め全員で相続放棄の申述をすることになることが多いでしょう。
では、母、長男・二男・三男すべてが相続放棄をした場合、どうなってしまうのでしょうか。
この場合、次順位の相続人が、この借金を相続することになります。
配偶者も子もいない場合、次に相続人となるのは、直系尊属(被相続人の父母・祖父母など)です。
実際には、直系尊属は被相続人よりも年長者ですから、既に亡くなっている場合が多くなります。
したがって、さらに次順位の法定相続人が登場します。
兄弟姉妹です。兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、その子(おい、めい)にまで影響が及んでしまいます。
能登半島地震の被災者の方へ
令和6年の能登半島地震の被災者の方が相続人となっている場合、
熟慮期間が伸長されています。
3か月の熟慮期間が、令和6年1月1日以降に満了する相続に関しては、
令和6年9月30日(月)まで、延長されていますので、もう少し生活が落ち着いてから判断することができます。
戸籍の収集、裁判所に提出する「相続放棄申述書」の作成を司法書士にご依頼いただけます。
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